令和8年熊本地震(最大震度7)が先日発生しました。被災者の方々は大変な状況だろうと思います。
さて、熊本には半導体工場が密集しており、報道によれば震度6弱から5弱くらいのダメージを受けたようです。地震を被災した半導体製造装置の復旧で、半導体エンジニア、装置メーカーのフィールドエンジニアも、今頃、大忙しだろうと思います。筆者はさすがに震度6の地震を受けた経験はありませんが、地震時の半導体エンジニアとフィールドエンジニアの対応に関して簡単に述べたいと思います。
地震は突然に
別のブログでも上げましたが、台風なら天気予報で事前に対応を準備できますが、地震は突然にやってくるため事前に準備できません。精々、半導体製造装置をアンカー固定(金具で固定)しておくくらいです。地震が起きた際には為す術がないです。

半導体製造装置は意外に頑丈
震度3くらいの地震であればいつものようなものであり、半導体エンジニアも慣れたものですぐに復旧できます。さすがに、震度5以上だと装置メーカーのフィールドエンジニアを呼ばないと復旧できない装置もあると思います。真空系を持っている装置や、レンズなどが入った露光装置が地震には弱いですが、壊れるほどまでは行かないようです。特に国産の装置などは地震を織り込み済みで装置が作られていることがほとんですから、滅多に壊れることはないようです。

壊れないと行っても、一部の部品が故障することはあります。あくまでそれらを交換修理すれば、装置の復旧はできるという意味です。真空系だとターボ分ポンプなど揺れに弱いですし、露光装置なら微細素子作製の要であるレンズが地震の影響を受けて調整が必要になるでしょう。
特に振動に堪えても停電が起きると不味い装置もあります。半導体の製造はクリーンルームと呼ばれる極めて塵埃が少ない環境で行われていますので、停電するとクリーンルームの機能(温度、湿度、空調)が維持できないこともあり得ます。クリーンルームが止まれば装置が壊れずとも、製造途中のウェハが没になってしまうこともあります。また、温度、湿度に敏感な装置もあり、復旧に時間がかかることがあります。
なお、地震の最中に製造処理していたウェハは、再処理(リワーク)が必要だったり、リペアという特殊な処理が必要になったりします。あるいは揺れでロボットアームなどからウェハが落ちてしまった場合は破棄するしかなくなります。ウェハが割れていなくても。詳細が知りたい方は筆者の著書「半導体エンジニア日誌」に書いていますので、ご一読頂ければと思います。
ライター: 有峰行信




