車の自動運転とAI

半導体

自動運転が発達して来ていますが、実用化は今後どうなっていくかは定かではありません。アメリカなど、道路が広く、歩行者もほとんどいないような道路なら自動運転も進んでいくでしょう。一方で、日本のような狭い道路で、歩行者も多く、自転車が車道を走り、と言った混み合った道路でも、どこまで自動運転ができて、安全性を実現できるかは難しいところだと思います。走るだけならできても安全面の課題は拭い去れません。

AIが発達したと言っても、車載半導体でできる自動運転は限られると思います。自動ブレーキ、速度を一定に保つ、道路の中央を走ると言った運転をアシストするような機能なら可能でしょう。あるいは駐車するなど決まったことを繰り返すと言ったことならば。どこかで人間の介入は必要な気がします。

車載半導体は、パソコンなどで使う最先端の半導体デバイスを使っていません。使わないと言った方がよいかもしれません。車内では温度40~80℃など過酷な環境になるため、熱暴走にシビアな最先端の半導体デバイスを使わず、28、14nm世代くらいの半導体デバイスを使うことになります。良くて8nm世代でしょうか。データセンターなどのAI半導体で学習したデータを車載半導体に送っても、演算能力が限られるのでできることは限られると思います。熱暴走に強いSi以外のワイドギャップ半導体で車載半導体を作ることもあり得るかもしれませんが、物理的に熱暴走に強くすると演算速度は低下するトレードオフの関係は抜けられないでしょう。

データセンターのようなAI半導体を使って自動運転をするには、車載半導体ではなく、5Gや6Gなどの移動通信システムで車とデータセンターのAI半導体とを通信で繋げて演算するしかなくなります。ある程度の通信速度も必要で5G以上の通信速度は必要と聞きます。ところが5Gなど電波帯が指向性が高く、アンテナを100m単位くらいに設置しないと接続が切れてしまうという問題があります。スマホでもまだまだ5G接続しにくいのはこのためです(なんちゃって5G規格はあるようですが)。自動運転を実現するにはアンテナ設置という莫大なコストが必要になるでしょう。また、車一台一台がデータセンターのAI半導体と繋がった場合、データセンターもパンクするかもしれません。データセンターも、それを動かす電力もっと必要になるでしょう(そうすると自動運転は実現できる目処があるのか、筆者にはわかりません)。

自動運転では、歩行者や他自動車を正しく識別する必要があります。そして、その時々の状況により運転の判断をしなければなりません。カメラやセンサーでもそれぞれ得手不得手があり、その情報から刻々と変わる状況をAIが判断して運転動作をするいく必要があります。人間の運転では回避できても、暗闇の中を走行している時にカメラから歩行者の画像認識が難しく、ブレーキをかけないという自動運転判断ミスがAIでも起こり得ます。また車両の一部が故障した時の判断は? 記憶に新しいのは、2025年大坂・関西万博で完全自動運転(レベル4)のバスが走っていましたが、事故を起こしています。

システムの安定性も課題があります。5Gの接続が切れたらどうなるでしょう。無線なので接続の保証は限界があります。

法制度の問題もあります。自動運転システムが事故を起こした際に誰の責任になるのか、という問題です。自動運転システムを作ったメーカーの責任なのか、(運転していないけど)搭乗者の責任になるのか、考えるべき事は山積みですね。

自動運転はまだまだ課題があると思います。小規模なAI半導体でのアルゴリズムは日本が得意とどこかで聞いた気がしますが、車載半導体だけで安全で完全な自動運転できるAIが作れるのかはどうなのでしょう。

ライター: 有峰行信

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