2026年労働基準法の大改正が見送られたようで(2026年現在)、企業・会社の方は一息つけたかもしれません。働いている人からすれば早く改正してほしいと思ったことでしょう。なお、半導体エンジニアも休日でも仕事の事が頭から離れないこともあります。
半導体製造装置は常時稼働
半導体製造工場は、365日24時間稼働が基本だと思います。土日、祝日、正月、ゴールデンウィーク、夏休みなど関係ありません。もちろん労働基準法を守ってないと労基署から注意を受けるので、各従業員の休日日数は守られると思いますが、半導体製造装置の中には止めると再稼働させるのに時間がかかるものもあり、メンテナンスを除き常時稼働させるのが普通です。無駄に装置だけ稼働させる訳にも行かず、半導体の製造ラインも常時稼働状態が保たれます。同一工程の装置が複数台ある場合は、装置ごとのメンテ日をずらして該当工程のウェハ処理が滞りなくできるようにします。

半導体エンジニアは、365日24時間ずっと働くわけにも行きませんので、複数人でシフト勤務をして対応することになります。これは労働基準法を守れるだけの従業員を雇っていれば、会社は特に問題なく法令を遵守できることでしょう。
半導体製造装置のトラブル
問題は半導体製造装置にトラブルが起きた時です。何の前触れもなく装置がトラブルを起こすこともあります。誰でも復旧できるようなトラブルならまだよいですが、特定の半導体エンジニアしか復旧できないようなものだと、休日だろうがその復旧作業に駆り出されることになります。

半導体製造装置を使うだけなら、1ヶ月もかからず覚えられるでしょう。しかし、装置がトラブルを起こした際の復旧となると、装置に熟知する必要があり、そのエンジニアを育てるだけでも何年もかかるものです。
装置トラブルの対応方法は、起きているトラブルにも依りますが、高難易度ほどマニュアルがありません。頻繁に起きるトラブルや軽度のものなどは装置マニュアルに対応方法が書かれていたり、工場内でマニュアル化したり、誰でもトラブル対応ができるようにしていることが多いと思います。
しかし、遭遇したことがないトラブルなど高難易度のものは、上位の半導体エンジニアに依存することになります。この上位の半導体エンジニアはいつ会社から電話がかかってくるとも限らない、気の休まらない休日を送ることになります。労働基準法が改正されて「つながらない権利(勤務時間外の連絡を拒否する権利)」が制定されると少しはましになるかもしれません。
なお、半導体製造工場内のエンジニアで対応できない装置トラブルは、当然、その装置メーカーのエンジニアに頼ることになります。社外の場合だと、装置の保守契約が結ばれるので、その契約に依って対応されると思います。休日でも装置メーカーのフィールドエンジニアを呼べる契約なら、休日時は割り増しの料金を取られることになります。あるいは休日対応なしの保守契約なら、社内のエンジニアにしか頼る者がなくなります。
装置トラブルが起きても、土日など2日くらい待てないのかと思う方もいるかもしれませんが、会社の方は装置トラブルが起きたら可及的速やかに復旧させたいと思うものです。なぜなら、装置がトラブルでラインが1日でも止まると、その損害額は半導体エンジニア1ヶ月の給料の10-100倍くらいにもなるからです。
頼られるエンジニアは休日も気が休まりませんが高給となり、頼られない程度のエンジニアなら低給なのは言うまでもありません。どちらが幸せなのかは人それぞれでしょう。また、会社の方も、労働基準法が改正で「つながらない権利(勤務時間外の連絡を拒否する権利)」を満たすようにすると、また、これも色々大変でしょうけど。
ライター: 有峰行信




